反省させると犯罪者になります
著者 岡本茂樹
一言でいうならばよかった。厚さも程よく読みやすい。
犯罪者というより加害者の行動の心理を書いている本
なぜそういった行動を起こしてしまったのか。
一度、刑に服しておきながらも再犯してしまうのは何故か
そういったことがわかりやすく書いてある。
そして、行きつく先が子供時代の育児環境。
これが大人になっても行動の基となり、思考の根源てきなものになることから、育児ということの重要性を再び認識しました。
この本からの学びを備忘録として記録
加害者に対して被害者に対する反省を考えさせる行為は今後再犯の防止という観点からは効果は望みづらい。
何故か。
加害者が罪を起こして最初に抱く思いは後悔である。
その後悔は反省ではなく、自分が捕まることへの後悔など。そして思いはそれだけではなく被害者への不満が多々ある。
あいつは○○されて当然だとか、あんなことしてるから○○されたんだとか
こういったことを解決せずに反省文だけを書かせてもそれは表面だけのもの。どんな立派な文を書いても表面上だけであり再犯の確率は当然高い。
加害者に対して行わらなければいけないこと
まず加害者が抱いている不満を吐き出してもらうこと
それも自由に思いを語ってもらうのが一番のようだ。そこから徐々に不満の根本的な原因を探る作業になる。当然過去にさかのぼっていく
そうすると自分の親に対する不満が出てくる。親に対する怒りや悲しみ、嫉妬など様々なものがでてくる。そこで初めてもう一度自分と向き合うことが出来て自分の行った行為を振り返ることができる
例えば、覚せい剤所持者が殺人を起こしてしまった場合(抜粋)
何故殺人をしてしまったのか
↓
覚せい剤を使用したから(加害者)
↓何故、覚せい剤を使用したのか
シンナーをやってたから
↓何故シンナーをやったのか?
たばこを吸ってたから
↓何故タバコ?
悪い仲間に入った
↓何故仲間に?
イジメられたが親の財布から金を抜いて渡すとイジメられなくなり仲間に
その加害者の親は抜いた金を返せと言うがイジメに対しては無関心。そして日常的に父親は暴力をふるっていた。
加害者は助けを求めても助けてくれる人はいなく不満はたまっていった。
ただこういった過去への振り返りから父親に対しての不満を吐き出し、父親に対して愛してほしかったことや父親への謝罪の気持ちなどが出てきて、現在の被害者への謝罪の気持ちが出てくる。
こういった自分が犯した罪に対してやみくもに反省をさせるのは意味がなく、加害者自身が何故行動を起こしたのか、そちらに焦点を合わせていかないと解決は難しいことを理解した。
この例からもわかるように加害者の少年時代の不満が現在の犯行に結びついてくる。
そして、次へのステップを踏むためには過去を見つめ返す必要が十分にあることがわかる。
親から受ける教育は子供時代を終えても長い間影響を与えているようだ。
例えば、他人に対してすぐに怒りを見せる人や他人の行動で気に入らないことがあり中々我慢が難しい人などは親から価値観の刷り込みがあったことが多い。
これが正しいことだ!こうしないといけない。などの価値観の刷り込みを子供時代にされてくるとその価値観からはみ出たものに関しては許せないという判断につながってくるようだ。
不安を抱えるということで相談などできない人
これは我慢が当たり前という育て方や一人で頑張るものだ。人に迷惑をかけてはいけないなどの人とつながることを阻害されるこれらは人に頼ることが難しい価値観を育ててしまうことになる。
大人になっても行動の根本的な原因は子供時代に遡る
子供時代の育児の重要さというのがよくわかる。
子供が問題行動というものを起こしたときに、僕はすぐさまはその行為を叱ってしまう。
でも本当はその行動の原因をまずは探ることが重要なのかもしれない。
つまり問題的なことをしているときは、子供の自己表現であり子供からのSOSかもしれない
その時は大人としての支援のチャンスであり、子供が今抱えている不満を存分に語らせるチャンスと捕えるところが重要なのだろう。
イジメ問題も同じ
イジメられた子の事を考えなさいと言うのは解決につながりづらい。
なぜイジメをした子にそういった行動をしたのか、イジメた子に対する不満は何か
何故それを不満に感じるのかというところを深く掘り下げていかないとイジメをした子はターゲットに対して今度はもっと陰湿になったり、ターゲットがいなくなれば別のターゲットを見つけていじめを繰り返すだけだろう。
今回の一冊は育児にとても参考になることが分かった。
書いてあることは難しいことではなく単純に不満を語らせて、その不満の原因を突き詰めていこうということだ。とても良い一冊に出会た。
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